アメリカ大統領選の討論会(ディベート)は最高の英語教材

アメリカ大統領選の白熱の討論(ディベート)

プロフェッショナルな英語を学ぶ活きた教材で、最高のものを挙げろと言われたらアメリカ大統領選の討論会(ディベート)だろう。アメリカの大統領選では、民主党、共和党の大統領候補のガチンコ勝負。そして、最終投票の前に行われる討論会は、テレビ、インターネットでの生中継を大勢のアメリカ国民が見て、どちらがより大統領にふさわしいか判断することになる。まさに米国の大統領選の結果を左右する、天王山である。
そのため、両候補とも徹底的に準備し、並々ならぬ気合で望む。ディベートの形式は、司会者が両候補に同じ質問をし、それぞれが決められた持ち時間の中で自分の主張を展開し、お互いの意見をぶつけあうというものだ。自分の主張を展開しながらも相手を攻撃するガチンコ勝負であり、白熱した討論が展開される。テレビを見ている一般の国民にもアピールするため、基本的にはわかりやすい平易な言葉を使いながら、力強く、明確な主張を行う。そのため、ビジネスの現場で使える、説得力のある英語表現、自分の主張の組み立て方、相手への反論方法など、英語での討論を勉強する上で最高の教材になる。

討論の内容は経済政策、外交、軍事、エネルギー政策、同性婚など非常に多岐にわたっており、今のアメリカ社会の課題、国民の関心を理解することにも役立つ。

筆者も2008年のオバマ大統領とマケイン候補のディベートをYouTubeで何度見たことか。特にオバマ大統領の、相手への反論方法、説得力のある主張展開は圧巻である。

米国の大統領選のディベートは、YouTubeに動画が多数上がっているので是非見て欲しい。またスクリプトも色々なニュースサイトに掲載されているので、動画を見ながら聴き取れない部分はスクリプトを見て学習して欲しい。

2012年の大統領選では、現職のオバマ大統領と、こちらもディベートの名手として知られるロムニー候補の対決である。この2人の討論は見逃せない。

アメリカ大統領選 第一回討論会(ディベート) オバマ大統領 対 ロムニー議員




第一回目の討論の主題は経済。ロムニー候補の攻撃とオバマ大統領の反論を封じる自信に満ちたディベートに注目。
オバマ大統領の在任期間の過去4年間で経済状況が悪化し雇用率が悪化したのはオバマ大統領の責任、と攻め立てるロムニー候補。ビジネスで成功した実績を元に、自分なら雇用を創出できる、と猛烈にアピール。
一方のオバマ大統領は、「ロムニーは金持ち優遇政策。自分は中間層のための政策をとる」とアピールするものの、ロムニー候補は逆に「自分こそ中間層の味方だ。金持ちを優遇することは一切ない」と言い切り、オバマ大統領の攻撃を封じてしまう。オバマ大統領は有効に反論することができず、終始、守勢に回る。また顔色も悪く、疲れが見える。
終始攻めの姿勢を崩さず、全身から自信をみなぎらせるロムニー候補は大統領の風格すら見せる。第一回目の討論会はロムニー候補の勝利で終わった。

アメリカ大統領選 第二回討論会(ディベート) オバマ大統領 対 ロムニー議員




第二回目の討論会は経済に加えて外交問題が対象。前回は劣勢に回ってしまったオバマ大統領の、巻き返しに注目。オバマ大統領は、自分の在任期間中の実績を積極的にアピールするとともに、「ロムニー候補の過去の政策は金持ち優遇である」と執拗に攻撃する。
またロムニー候補の主張を「真実ではない」と断言し、相手の主張を揺らがしている。第一回目の討論会とは打って変わった攻撃的な姿勢が目立つ。またお互いが相手の主張を「事実でない」と真っ向から否定する場面が何度もあり、ガチンコ勝負のディベートが繰り広げられ、非常に見応えがある。攻める戦略が功を奏し、世論調査ではオバマ大統領に軍配が上がった。

アメリカ大統領選 第三回討論会(ディベート) オバマ大統領 対 ロムニー議員




討論最終会となる第三回目は外交問題が主題。ロシア、中国、中東を軸にアメリカがとるべき外交政策について激論が交わされた。一般に外交政策のディベートは現職大統領が有利と言われており、今回もその例にもれず、オサマ・ビンラディン殺害などの実績を全面に出したオバマ大統領が優勢との結果となった。
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