ビジネス英語の誤解―海外で暮らせば英語はみにつくのか?

海外で暮らせば英語はみにつくのか

留学や海外駐在を経験しないと英語は上達しないと思っていないだろうか?全くそんなことはない。日本で生まれ育ち、海外で暮らした経験がなくとも、実践でバリバリ英語を使って仕事をしている人は大勢いる。

逆に、米国に留学までして、毎日英語に囲まれる生活をしながらも、がっかりするようなの英語力の人間も沢山いる。また、グローバル企業で、日常的に英語に触れる、恵まれた環境に何年もいる人でも、英語が全然上達しない人も多い。仕事で何とか必要最低限のコミュニケーションはできるのだが、英語ネイティブが早口になると全然ついていけなかったり、自分の意見を英語で効果的に伝えることができないのだ。英語を日常的に使う環境にいるからといって、英語は上達するものではない。能動的に英語を習得する意識、努力の少ない人は、やはり英語力は低いままである。

英語圏で生活しても自然に英語が身につくわけでないことは、米国にいる海外からの出稼ぎ労働者を見ていても分かる。米国のニューヨークやサンフランシスコなど、都市部のタクシー運転手は、海外からやってきた出稼ぎ労働者であることが多く、英語も下手な人が多い。彼らに話を聞くと、出身国は様々であるが、米国にもう5年、10年住んでいる、というような人も多い。それにもかかわらず、英語は下手である。タクシーの仕事をする上で最低限の英語だけ身につけて、それ以上は英語を学ぼうという意欲がないのだ。

英語は自然にはみにつかない。能動的な学習が必要。

こうした例を見ると、吸収力のある子供を除けば、英語の環境に長期間いたとしても英語は自然と身につくものではないことがわかる。つまり、大人が英語を習得するには、自分で能動的に英語を習得する努力することが必要なのである。アメリカで毎日英語のシャワーを浴び続けたとしても、それだけでは、英語は話せるようにはならない。英語のシャワーを浴びながら、それと同時に、英会話のパターンやイディオム、単語なども学習しない限り、英語は使えるようにならない。「聴くだけで英語が話せるようになる」というような文句は、疑ってかかるべきである。

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