インド英語のリスニング

インド人の積極性に学べ

グローバル企業におけるインド人の活躍には目覚ましい。インド人の活躍の場はかつてはシリコンバレーなどIT分野でのエンジニアが中心であったが、最近ではMBAを取得してその後マッキンゼーのような戦略コンサルティング、投資銀行、事業会社のビジネス職で活躍する人も多い。米国に本社を置く企業でもインド人経営者が明らかに増えている。

筆者もインド人と仕事をする機会が多いが、グローバル企業で働くインド人の特長としてはその積極性を強く感じる。自分に自信を持っていて、ミーティングでは我先にと発言する。相手に反論されてもめげずに、逆に相手を説得にかかる。インドは日本とは比較にならない多様性を持つ国なので、日本のような以心伝心は通用しない。そのために、お互いが伝えたいことをはっきり言わない限りは物事が前に進まないのだ。そのことを踏まえた上で、インド人と議論するときにはこちらもかなりアグレッシブに主張する必要がある。

採用面接において、「あなたの主な実績を教えて下さい」という質問をすると国の特徴がよくあらわれる。この質問をすると、一般的には、日本人の答えが一番短くあっさりしており、米国人はちょうどよい感じにまとめて適切な時間で答え、インド人がダントツで長い。、延々と過去の実績をアピールされ、インタビュー時間が終わりそうなので「あと1分でまとめてくれ」と伝えたら、「OK」と言いながらそこからさらに5分以上自己アピールをされたこともある。あまり自己アピールを頑張りすぎるのはマイナスだが、グローバルで戦うためには自信と積極さは大切な成功要素であり、日本人としてこのメンタリティに学ぶべきことは多い。

インド人の英語

インド英語のリスニングを苦手とする人も多いだろう。インド人の英語は概してイントネーションがフラットで、独特の訛りがある。例えばインド人の「Thing」は「Ting」と発音されたりする。さらに困ったことには、インド人の英語の訛りにも様々なバリエーションがあり、一概には「これぞインド英語の発音」と定義もしづらい。主要なものだけで22もの言語があるインドにおいては、英語を話す人であっても家庭では英語以外の母語を話すことが多い。そのため、英語の発音もそれぞれの母語の影響を受けるのだろう。インド人の英語のもう一つの特徴としては、早口である。個人差もありゆっくり話してくれるインド人もいるのだが、概して早口のインド人が多い。独特のイントネーションでしかも早口、このヒアリングは、なかなかチャレンジングである。

筆者もビジネススクール時代には教授、同級生にもインド人が大勢いて、その聴きとりには大いに苦労して、日本人留学生同士でよくぼやいたものである。ただ、アメリカ人に言わせると「インド訛りの英語は日本訛りより聴きとりやすい」そうなので、どうも日本人の耳とインド英語の発音は相性が悪い、ということのようである。

では、インド英語のリスニング対策はどうするか。なかなかいい教材がないのだが、最近ではCNNやMSNBCなど米国の番組にもインド人ジャーナリストや経営者などが登場する機会も増えているので、こうした番組を聴きながらスクリプトを見て慣れていくのが良いだろう。

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