「英語屋」に気をつけろ

英語屋の罠

帰国子女、留学や海外駐在の経験があり英語が堪能な人たちが陥りがちな罠がある。それをここでは「英語屋の罠」と呼びたい。

こうした人達は、英語ができるがために、英語でのミーティングに呼ばれて通訳したり、上司のプレゼン資料を英訳したり、英文資料を日本語に翻訳するといった仕事を頼まれることが多い。周りからは「英語が上手だね」とほめられて、優越感にもひたれるのだが、これが「英語屋の罠」の始まりである。

新人のうちはそれでも、海外との重要な会議に同席できたり、重要な資料に触れることができる、などのメリットなどもあるだろうが、それは「英語屋」として使われているだけで、あくまで「便利屋」に過ぎない。周囲はあなたの「語学力」を頼りにしているだけで、ビジネスパーソンとしてのスキルを評価しているわけではない。翻訳作業に時間を費やしているばかりでは、専門性も身につかず、自らプロジェクトを率いる機会も得られず、大したキャリアアップは望めないだろう。

筆者の知る限り、外資系であったとしても、英語ができるからというだけの理由で出世した人はいない。ビジネスパーソンとしての実績、スキル、リーダシップが評価されなければ、どれほど英語が上手でも昇進は望めない。

英語ができるがために、周りからチヤホヤされて、「便利屋」としていいように使われて終わる、そんな「英語屋」で終わらないためにも、英語以前の課題として、ビジネスパーソンとして必要な能力を磨くことが肝要だ。

その上で、ビジネス英語ができたならば、「鬼に金棒」である。

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